【読書感想文】高橋治の『名もなき道を』あらすじと主人公の気持ちに対する所感

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道の写真

夏休み、学生さんなどは読書感想文などの宿題がある方も多いのではないでしょうか。既に社会人になってしまった人にはなかなか縁がなくなってしまうかも知れませんが、夏を迎えると、ついつい読書感想文を思い出してしまうことが多いです。

読書は、奥深く楽しいものです。読み終えても興奮が冷めない本に出会うと、もう一度読みたくなります。一度目よりもっと主人公のことが知りたくて、より一層深く読解を進めます。

そして、その読後感を記したくなります。読書感想文に文例などありません。自分が感じたままを、或いは、自分が主人公だったら、という観点から、主人公への批判や同情などを交えて書くと、感想文を読んだ人にもその本の内容が伝わることでしょう。

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高橋治著【名もなき道を】あらすじ

高橋治著【名もなき道をのあらすじをご紹介します。

槙山光太郎を訪ねる

この本は帝大出身の教育者が、自分が指導教官を務めた生徒のことを色々調べて回るという筋書きになっています。

金沢大学名誉教授の吉松は、旧制高校時代の教え子、槙山光太郎のことが気になって仕方がないので、今も実家で暮らす彼の元を訪ねます。

もめごとが絶えない

槙山は小さな村の病院長の長男で、将来は病院の跡取りになると嘱望されて育ちます。

しかし、槙山は奇行が目立ち、自分は立派な病院の跡取りで、特別な人間なのだとの思いを抱いています。そのことが彼の言動に現れ、周囲とのもめごとが絶えません。

突き刺さった一言

吉松は、4高時代に、槙山から「あなたは無能な教授だ」といわれ、そのことが頭から離れません。

吉松はその後、金沢大学で顕著な研究成果を残し、その名をとどろかせます。しかし、吉松の心には槙山の一言が突き刺さったままです。

15回の受験

槙山は4高から東北大学の法学部に進みます。卒業してから司法試験に挑むのですが、合格できぬまま月日が流れてゆきます。

槙山は司法試験におちても諦めず、毎年受験を繰り返します。15回も受験していることを知った吉松は、槙山の郷里を訪れ、槙山にもうあきらめて別の道を探すよう話をしようとします。

しかし、頑なな槙山の態度は変わらず、浴びるように酒を飲んで、病院の一室を占領して暮らしています。

横山と言う人間を理解する

吉松には、そんな槙山の行動が理解できません。病院は、槙山の妹夫婦が引き継ぎ、院長には妹の夫がなりました。

妹夫婦は、槙山に対して、気を使い腫れ物に触るような扱いをしています。吉松は、槙山と言う人間を理解しようと、槙山の友人たちを訪ね、話を聞きます。

槙山の意外な一面

そして、槙山が医学の道へ進まなかったのは、色盲だったからだと知ります。

そのことを両親に打ち明けることができず、彼は悩み苦しんだことを知ります。吉松は槙山の意外な一面を知って、益々彼のことがわからなくなります。

槙山を賛辞する言葉

槙山の受験が20回を超えたとき、彼の奇行がさらに激しくなって、彼は変死します。結局、吉松は槙山のことが何もわからないまま、自分自身も突然死を迎えます。

彼は薄れゆく記憶の中で、槙山の友人たちが言った、「あの生き方は誰にもできないですと」という言葉を反芻します。

あの言葉は、槙山を賛辞する言葉だったのではないか、との考えが湧き上り、「槙山君、馬鹿げていたが、よくやったよ。」槙山にそう言ってやりたい衝動にかられながら死んでゆきます。

【名もなき道を】主人公の気持ちを考える

名もなき道をの主人公の気持ちを考えます。

名もなき道を事件

この小説は、名もなき道を事件として取り上げられ、モデルとされた夫婦が、「虚構が描かれ名誉が毀損された」と訴えた事でも有名です。

彼らの言い分は、家族関係や兄の遺伝的要因などのプライバシーが侵害されたとして、小説の出版中止や謝罪広告の掲載、慰謝料の支払いを求めて、著者と講談社を相手どり提訴しました。

後に和解が成立して、小説は実在の人物とは一切関係ないことを明示するように言い渡されました。

期待という重圧

皆さんは進路を決めるとき、両親や先生、或いは友人に相談することと思います。この小説の主人公は、生まれる前から進む道が決まっていました。

周囲から期待され、院長の息子と言う特異な立場が彼に重くのしかかりました。必死に勉強して、それらに応えようと努力しました。

院長の後を継ぐ、という重大な使命にがんじがらめにされながら成長しました。その重圧は並大抵のものではなかったと思います。

主人公はエリート

このお話は、旧制高校時代のものですから、学校制度が今とは異なります。普通の人は尋常小学校を卒業すると、家業を手伝ったり、働きに出ました。成績が優秀で、家に余裕がある者は旧制中学校に進学しました。

更にその上には旧制高校がありました。そして、選ばれたものが、帝国大学へ進学し、国家の祭りごとに参加したり、教育者になったり、医者・弁護士などの職業に就きました。

主人公は、東北大学の法学部を卒業したのですから、その当時としたら、エリートです。

色盲による心の葛藤

では、なぜ彼は破天荒な生活を送るようになったのでしょうか。それは、自分が色盲である、と知ったことから始まります。

この病は、多分に遺伝的要素が強いので、彼は親にそのことを告げられなかったのだと思います。

「なぜ医学部を受験しないのだ。」と周りから言われても、彼には返す言葉がなかったのです。彼の心の葛藤を想うと、胸が締め付けられます。

道化を演じ続ける

そして、自分は病院を継ぐにふさわしい人間ではない、という既成事実を行動で表し、その道化を演じ続けたのです。

彼の深い部分に眠る、優しさに感銘を受けます。両親に、色盲者を生んだとの思いを抱かせたくない、それが彼の考えの根本にあったのです。

自分は変人である、それを周りに周知徹底することでしか、彼の生きる道はなかったのです。司法試験を受け続けたのも、両親に心配をかけたくない、という思いが強かったのだと推察します。

受験に合格することはもはや念頭になかったのかもしれません。奇行を繰り返すうちに、どれが本当の自分なのか、彼自身にもわからなくなったのではないでしょうか。

あの生き方は誰にもできないです

自分には何の落ち度もない事柄にしばりつけられ、一生かけて、「名もなき道を」歩き続けた男の悲劇が胸に迫ります。

「あの生き方は誰にもできないです」という言葉を、友人たちに言わしめた主人公の健気さに頭が下がります。

【名もなき道を】まとめ

人はそれぞれ、「自分にとって必要な経験をするため」の準備ができているところに生まれてきます。その中では、自分で決められることと、そうでないことがあることでしょう。

ですが、自分の道は自分で決めてください。親や教師からのアドバイスは素直に受けつつも、最後の一歩は自分で決めましょう。

大事な「自分の人生」なのですから、最終的な判断は自分で下します。これが、良き社会人への登竜門です。悔いのない人生を送るためには、「自分で決めて生きること」それが大切なことだと思います。

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