あなたは「曲げわっぱ」をご存知ですか?
かつて日本人が野良仕事をする時に使っていた「お弁当箱」として、日本各地でどんどんと進化してきたものです。
2013年12月に、日本食がユネスコで無形文化遺産に指定されたことから「和食」に注目が集まっていることもあり、いまや世界的にも「和食」がブームになっていますね。
和食のブームに合わせて、古来からの日本の伝統的な食文化である弁当容器「曲げわっぱ」も、今、脚光を浴びているので、本日はこの「曲げわっぱ」についてご紹介したいと思います。
日本モダンな「曲げわっぱ」の歴史・由来
海外では、日本の和食と同様に【弁当(BENTO)】にも興味をそそられているようです。それと同時に「弁当容器」そのものも注目を浴びるようになり、その中でもとても日本らしく、曲線美の美しい「曲げわっぱ」が注目されているのです。
「曲げわっぱ」の歴史
「曲げわっぱ」は、平安時代の遺跡からも発見されるほど、長い長い歴史があるものです。
ちなみに、誕生したのは、現在の秋田県大舘市で、そこに豊富にあった天然資源である、秋田杉を使ったものだと言われています。
藩政時代、大館を治めていた佐竹西家が、地域の豊富な森林資源を活かし、武士の内職として奨励し、近代まで技術が受け継がれてきました。
現代になりプラスチック製品などの流通による影響を受けましたが、近年の本物志向の風潮や現代のライフスタイルを反映した製品の開発などにより、徐々に需要が高まってきています。
曲げわっぱ製品は、木材の香りや吸湿性、断熱性、軽量性といった特長が活かされており、弁当箱やお盆などの代表的な製品のほか、コーヒーカップなど現代のライフスタイルに合わせたデザインの製品も各種開発され、販売されています。
もともと秋田杉で作られていたため、白木の「曲げわっぱ」だと、ご飯の水分を程よく吸収してくれますし、杉がもつ殺菌効果のお蔭で、中のご飯も傷みにくく、杉の香りによってご飯の香りもよくなり、その保存性の高さから、常温で一昼夜置いておいても傷まなかったと言われています。
白木はやはり、木そのものですから、切られてお弁当箱になっても、呼吸をし続け、その通気性の高さゆえ、中身を長時間安全に守ってくれます。ですが、その分どうしても取扱いが難しくなってしまいます。乾かすときはきちんと乾かさないとカビてしまいますし、汚れがついてしまったすると、「削る」以外に汚れを落とす方法がありません。
そんな中、だんだんと時代が進むにつれて、「曲げわっぱ」を取り囲む状況に変化が訪れます。
大館曲げわっぱが昭和55年に伝統工芸品に指定された当時は好調な売れ行きでしたが、昭和60年に入るとプラスチック製品の台頭と生活様式の変化により需要の低迷が続きました。
なかなか売れない曲げわっぱを東京や大阪などへの販路拡大を目指すなかで新商品開発が盛んになり、曲げわっぱにウレタン樹脂塗装を施すようになりました。需要が伸びるにつれてあらゆる商品にウレタン塗装をするようになって秋田杉の効能が活かされなくなりました。
取扱いがしやすいように、塗装されるようになってしまったんですね。
では、「塗装された曲げわっぱ」と「白木のままの曲げわっぱ」果たしてどちらがよいのでしょうか?
白木のままの曲げわっぱ?塗装された曲げわっぱ?どっちがいいの?
これは、どちらがいい悪いではなく、それぞれに特徴があります。一長一短ですね。
白木のままの「曲げわっぱ」
白木のままの「曲げわっぱ」は杉の木自体が呼吸をするので、中に入れたご飯が蒸れにくく、結果として傷みにくいです。なので、炊き立てのご飯を入れ、すぐにフタをしてしまっても、うまい具合に「曲げわっぱ」が水分を吸収してくれ、ベタベタにならずに済みます。
ですが、その分、お弁当箱としてのお手入れが少し必要になります。
白木の曲げわっぱのお手入れ方法
1)ぬるま湯で、すみずみまで丁寧に汚れを落とします。
2)乾いたふきんで、きちんと水気をふき取ります。
3)風通しのよい場所で、ひっくり返して、フチまできちんと乾燥させます。
元々が良質な素材でできているので、このお手入れをきちんとしていれば、子どもや孫の代まで使える可能性もありますので、大事に取り扱ってください☆
塗装された「曲げわっぱ」
表面を漆(うるし)でコーティングされているので、お手入れはラクです。普通通り、スポンジ&洗剤を使って洗っても大丈夫でしょう。(※ただし、漆は傷つきやすいので、白い、水でぬらすだけで汚れの落ちる、メラミンスポンジなどは使ってはいけません!)
ですが、漆を塗ることで、木の呼吸を止めてしまっているので、炊き立てのご飯を入れてすぐにフタをしてしまうと、中に水気がたまり、すぐにビチャビチャになってしまいます。白木のものに比べて、どうしても中身は傷みやすくなってしまいます。
まとめ
白木か、漆か、どちらの曲げわっぱを使うかは、本当にみなさまの用途次第です。
●「お弁当のもちをよくしたい」のであれば、白木!
●「お手入れのしやすさ」を選択するなら漆!ですね。
それぞれのライフスタイルに合わせて、ご自身が使いやすそうなものを選択してくださいね♪
「曲げわっぱ弁当 おかずの詰め方」動画紹介
是非、参考にしてみてくださいね♪