七夕といえば、7月7日に「織姫(おりひめ)」と「彦星(ひこぼし)」が一年に一度、天の川で会うことを許された、大切な日・・・そのようなお話しを聞いたことがあるのではないでしょうか?
このお話は、もともとは中国から伝わった七夕伝説です。
このお話とは少し違う形で、日本に伝わっている「日本の七夕伝説」もあります。
それぞれのお話しを知った上で、さらに今回は、その他の諸外国における「七夕伝説」について調べてみました。
中国に伝わる七夕伝説
いわゆる一般的な、織姫と彦星の「七夕伝説」も中国由来のものですが、それ以外にも中国にある七夕伝説があります。非常に広い国で、長い文明もありますから、伝説が複数出てきても不思議ではないですね。
中国に伝わる七夕伝説
大昔のことです。天上には「天衣」と呼ばれる、天地を自由に行き来できる衣を織ることができる天女の姉妹が住んでいました。
あるとき、天女の一人が地上の川で、天衣を着て水遊びをしました。そのときやってきた若者が、天女の美しさを間近に見て思わず天衣を隠してしまいました。天女は天に戻ることができなくなって、その若者と結婚しました。
若者は、天女との間に子供をもうけ、幸せな暮らしを手に入れました。しかし、いつまでたっても天女が戻ってこないことに腹を立てた天上の帝が、天女を天へ連れ戻してしまいました。
母親がいなくなって、泣きじゃくる子供を見た、若者が飼っていた年老いた牛は「私を殺して皮をはぎなさい、その皮を着れば天上へ上ってゆけます。」と若者に言いました。
若者は長年一緒に暮らした牛にそんなことはできないと言いました。すると、年老いた牛は自ら頭を打ち付けて死んでしまいました。若者は泣く泣く牛の皮をはいで、それを着て子供と共に天上へと昇ってゆきました。
やっと天女に逢えたと思ったとき、上から大きな手が伸びて来て、二人の間に線を引きました。そこからどんどん水が流れ出して、若者と天女の間には川ができました。それを見た子供は「柄杓で水をすくおう」と言いました。
若者と子供が川の水をすくい始めたのを見た帝は、若者の天女に対する愛情と子供が母を慕う気持ちに感動して、「毎年七月七日だけ、家族で会うのを許そう」と言いました。
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こういったストーリー展開の物語もあったのですね。さまざまな形の原型があることを感じます。
ギリシアに伝わる七夕伝説
琴の名手である青年が、妖精の少女と恋に落ち、幸せに暮らし始めました。ところが、妖精の少女は毒蛇にかまれて死んでしまいました。
嘆き悲しんだ青年は、天国の大王に、一度だけ少女を生き返らせてくれと頼みにゆきました。様々な苦難の末、青年は大王に逢うことができました。大王は願いを聞き届けてくれましたが、ある条件を提示しました。それは、「地上に戻るまで一度も後を振り向いてはいけない。」と言うものでした。
青年は絶対に振り返らないと約束をして天国を離れました。あともう少しで地上だと言うときになって、青年は嬉しさのあまり後ろを振り向いてしまいました。少女はあっと言う間に天国へ戻ってしまいました。
嘆き悲しみながら野山を彷徨っていた青年は、酔っぱらった女たちから「琴を弾いて」と頼まれますが、断ったため殺されてしまいました。青年の琴は夜空に昇って琴座となりました。
哀れに思った大王によって、青年の魂も星になりました。そして年に一度だけ、少女の琴座と逢うことができるようになりました。
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亡くなってしまったことから、天にのぼって星座にしてもらえたという話はよく聞きますが、一年に一度だけなんて、なんだか寂しいですよね。
こういう話を耳にするたび、生きているうちに会える人を大切にしようと改めて思いますね。
フィンランドに伝わる七夕伝説
ズラミスとサラミという、仲のいい夫婦が亡くなりました。
二人は星になりましたが、それぞれの星が遠く離れてしまいました。星になっても傍にいたいと願った二人は、自分の星の近くに散らばっている星屑を集めて二人の間に橋を作ろうとしました。
来る日も来る日も星屑を集めて、とうとう二人の間に立派な橋ができました。こうして二人は行き来ができるようになったのです。その橋が、七夕に輝く「天の川」だと伝えられています。
【世界の七夕伝説】まとめ
一般的な「七夕伝説」以外の3作品をご紹介しましたが、いかがでしたか?
おそらく、このほかにも(天の川)にまつわるお話があると思います。日本でも各地方によって少しずつ違うかもしれません。
世界の各地で、いろいろな形で残っていることが面白いですね。これを機会に七夕にまつわるお話を発掘してみてはいかがでしょうか?ちょっと知っているだけでも、毎年夏がくるのが一層楽しくなると思います。
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